住民抗議で燃料工場計画中止 中国

中国広東省の江門市が所轄する鶴山市政府は15日、同市で計画されていた核燃料コンビナートの建設に反対する住民約800名が市庁舎前でデモなどの抗議行動を繰り広げたことから、住民の意見を全面的に考慮して同計画のキャンセルを決めたと発表した。経済発展を第一に国が行政活動を進めていた同国で、住民運動により開発計画が中止されたのは初めてのことで、政策上の価値観の変化が見て取れると中国情勢に詳しい専門家は指摘している。

江門市環境保護局によると、「中核集団鶴山龍湾工業パーク」と名付けられた同コンビナートは中国核工業集団公司(CNNC)と中国広核集団有限公司(CGN)が約4万9000ヘクタールの敷地に共同で建設するもので、総投資額は370億元(約6000億円)。ウランの転換と濃縮工場、および燃料加工工場を備えた世界規模の核燃料生産集約施設となる計画だった。

今月4日に市の開発局は10日間の日程で、同プロジェクトに伴う放射能汚染など6項目のリスク評価についてインターネット等で公示。文書や電話、電子メール等を介して一般大衆からの意見聴取を試みたところ、住民の激しい抗議行動につながったとしている。


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