九大、4D観察法を開発 SPring―8を活用

九州大学大学院の工学研究院の戸田裕之教授の研究グループはこのほど、大型放射光施設SPring―8を活用し、新たな金属組織の4D観察法を開発したことを発表した。これまでは主に2Dの手法が用いられてきたが、さまざまな現象が4Dであり、4D手法(3Dに時間軸を加えたもので、3Dの連続観察)が可能になれば、自動車、航空機などに用いられる材料の研究開発が飛躍的に高度化すると期待される。

これまで4Dの連続観察法を可能にする技術はなかったが、戸田教授の研究グループは金属の結晶粒界に多数存在する数〜数十μm程度の粒子をSPring―8を利用したエックス線CTで鮮明に3D観察できることに着目した。このような粒子は金属が変形し、破壊していく過程でも常に結晶粒界に位置するため、結晶粒界の粒子情報を使えば、個々の結晶の形を4Dで求めることが可能と発想、具体的な手法として効果の検証などを進めてきた。

従来、金属の強度などの評価は、多くの試験を別々に行い、それを総合して評価していた。今回開発した「結晶粒界追跡法」では、大型放射光施設を用い、1回の実験で、1本の試験片だけで組織の観察と強度等の評価を同時に実施できるので、双方の情報を高いレベルで能率よく取得し、かつ誤りなく結びつけることができる。

これにより、金属材料の真の変形の様子、破壊のメカニズムなどを知ることが可能になるという。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで