原子力の重要性強調 インドのカコドカル元原子力委員長

インド原子力委員会のA.カコドカル元委員長(=写真)は11日、「原子力と太陽光発電のみが国内で必要とする電力需要を満たせる」との考えを表明し、同国内の円滑な原子力開発を阻む激しい反対運動をけん制した。20基の原子炉が稼働する同国だが、半数以上が出力20万kW以下の加圧重水炉。大規模な電源開発を可能にする高出力軽水炉の本格導入に向け、国民の理解を得るための努力が続けられている。

この見解は、同日にインド工科大・ガンディナガール校で開催された卒業式の式辞の中で述べられたもの。元委員長はまず、インドが経済大国として台頭していくのであれば、1人当たりの発電電力量が先進国並みになければならないと指摘した。現状の比較でインドは先進国から14〜15倍遅れており、工業先進国における1人当たり平均の発電量単位を約1万とした場合、インドのそれは800程度。「インド国民1人当たりの発電量単位を少なくとも5000に上げる必要があり、そうした規模の電力を持続可能ベースで供給するには原子力と太陽光という2つの電源以外に方法はない」と強調した。

元委員長はまた、いかなる経済成長の過程においてもエネルギーは非常に重要だと明言。十分なエネルギーがなければ産業施設を稼働することは出来ないと説明した。政府の計画委員会は2012年から17年までの「第12次5か年計画」で新たに8800万kWの電源開発目標を掲げているが、これを達成するために質の高い研究が必要だと元委員長は指摘。インド工科大には、技術開発を通じてインド発展の先導役になるとともに、国作りを支えていける優秀なエンジニアや研究者を数多く育てていく務めがあるのだと訴えた。


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