規制委が建設許可発給 韓国受注のヨルダン研究炉計画

韓国原子力研究所(KAERI)は19日、ヨルダンで受注していた研究訓練用原子炉(JRTR)(熱出力0.5万kW)計画の建設許可がヨルダン原子力規制委員会(JNRC)から発給されたと発表した。これにより、2016年前半の運転開始を目指して建設作業が本格化することになる。

JRTRは首都アンマンの北70kmに位置するヨルダン科学技術大学(JUST)の敷地内に建設予定で、ロシアや中国、アルゼンチンを交えた競争入札の結果、新型高中性子束応用炉(HANARO)を提案するKAERIと大宇建設の企業連合が09年12月に約1億3000万ドルで契約を獲得。このうち7000万ドルは韓国が低金利融資をヨルダンに提供することで両国は10年7月に合意に達している。

JRTRの用途は中性子を利用した基礎科学研究と新物質の開発、医療・産業用放射性同位体生産、原子炉構造材や燃料の健全性試験のほかに、現在メーカー選定作業中の発電用商業炉で必要となる原子力エンジニアや研究者の教育訓練用としても使われる。KAERIの企業連合は11年7月に建設計画の予備安全解析報告書と環境影響評価報告書などから成る建設許可申請書をJNRCに提出。JNRCは韓国原子力安全技術院(KINS)の協力を得て、2年ほどかけてこれらを審査していた。

建設サイトではすでに、基礎鉄筋の組立とコンクリート打設までの作業が可能な限定工事承認(LWA)に基づき、原子炉建屋の基礎工事が進捗中。付属で建設されていた教育訓練棟(=写真)は完成済みとなっている。

なお、発電用商業炉の導入については、内閣が承認したマジュダル、アカバ、ムワッカの3つの候補地点について実行可能性調査や環境影響調査が進められている。ベンダーとしては、候補を仏アレバ社と三菱重工業の合弁企業であるアトメア社、およびロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社に絞って検討を継続中。ベンダーと投資家が一体となった包括パッケージ契約を希望しており、2020年〜22年の初号炉運転開始という目標に変更はないとしている。


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