米・Vヤンキー原発閉鎖へ ガス革命等により経済性悪化

米国のエンタジー社は8月27日、バーモント州で操業していたバーモント・ヤンキー原子力発電所(=写真)(BWR、65.2万kW)を2014年第4四半期に閉鎖する方針を発表した。シェールガス革命や供給地域における電力卸売価格の低迷などの影響により、苦渋の決断を下すに至ったと説明。閉鎖後は安全貯蔵(SAFSTOR)方式による廃止措置を取ることになるとしている。

同炉は1972年に営業運転を開始。エンタジー社は02年に同炉を購入したが、07年の冷却塔倒壊や10年のトリチウム漏れなどトラブルが続いたことから、同社は10年11月、同炉の売却を検討し始めていた。翌11年3月には米原子力規制委員会(NRC)から32年まで20年間の運転認可延長が認められたが、今回の閉鎖決定に至るまでには複数の経済的要因が根底にあると強調した。

すなわち、(1)シェールガスによる天然ガス供給シフトの変革により、天然ガス価格とエネルギー卸売価格が持続的に低迷(2)単基の原子力発電所であるが故の高コスト構造により、02年以降は安全操業のための投資に4億ドル以上を投入(3)エネルギー卸売市場の構造的欠陥により、電力供給地域のエネルギー価格が人為的に低く抑えられた――などだ。

閉鎖時期を現在の運転サイクル終了時期となる来年に設定したのは、同炉の閉鎖を安全かつ整然と行う計画を立てるとともに、NRCへの届け出準備の時間的余裕を得るため。エンタジー社は今後、安全で効率的な廃止措置を計画・実施する担当組織を新たに起ち上げるほか、閉鎖後は燃料を取り出して発電所を安全な監視付き貯蔵の状態に保つ計画だ。

また、閉鎖に際しては、NRCが定めた認可終了のための廃止措置財政保証に最低でも5億6600万ドルが必要となる。バーモント・ヤンキー原発の廃止措置信託には今年7月末日現在で約5億8200万ドルが残っているが、エンタジー社はこの他に財政保証が必要となる項目の有無や使用済み燃料管理のための資金調達といった課題を見定めてから、閉鎖活動の計画をNRCに届け出るとしている。


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