「三条委員会」で強化を 有識者ら提言発表 原子力委見直しに向け

エネルギー政策に関する有識者らがこのほど、現在、政府で見直しが進められている原子力委員会のあり方について、提言を発表した。元日本経済新聞論説委員の鳥井弘之氏らを中心とするメンバーが取りまとめたもので、現行の「八条委員会」から「三条委員会」へと権限強化することなどを盛り込んでいる。

原子力委員会の見直しは、内閣府科学技術担当相のもと、審議が進められているが、今回提言は、震災を契機とし、日本のエネルギー政策に関する議論の高まりを受け、原子力の研究・開発・設計に長く関わってきた有識者らで検討されてきた。

提言はまず、見直しの必要性として、「原子力村」問題を指摘し、原子力委員会の存在がこれを助長する作用があった可能性に言及した上で、法的位置付けの発足からの変遷を述べ、改善の方向性につなげている。今後の組織のあり方としては、「国としての意思決定を国民から付託された政治の指導者と、専門性に忠実で長期的視点を持つ様々な分野の専門家が協力する場が必要」との考えを示し、「三条委員会」としての権限強化とともに、委員長に国務大臣を置き、関連省庁の副大臣または政務官、業界に偏らない専門家委員で構成する必要を述べている。

また、機能・役割については、規制基準を設定し適合性を審査する原子力規制委員会の役目と対峙し、技術革新などにより、新たな設計思想を導入する機能の未達に問題点を置き、原子力委員会に「長期的安全性確保」の取組を求め、両委員会による相互チェックの強化を図るべきとしている。さらに、進展の見られない高レベル放射性廃棄物の処理・処分問題に関しては、原子力委員会にカリスマ性のある委員を抜てきし、「当事者意識」を持って取り組むことなどを求めている。

この他、5年計画を年ごとにローリングする必要、海外に対する一元的窓口機能、社会への情報発信機能の強化などを備えるべきとしている。


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