エネルギー移送計測 東北大学大学院 閉じ込め悪化原因究明

東北大学大学院工学研究科の研究グループは10日、核融合を目指すプラズマの閉じ込め性能の悪化が、電子温度の傾き(空間勾配)によって高周波揺らぎが発生し、その高周波揺らぎから低周波揺らぎへエネルギーが移ることによって起こることを突き止め、そのメカニズムを明らかにしたことを発表した。

金子俊郎教授、畠山力三名誉教授の研究グループの研究成果。プラズマ中の電子温度の空間勾配を精密に制御することで電子温度勾配モードと呼ばれる高周波不安定揺動を能動的に発生させ、この高周波不安定揺動のエネルギーが高度な強い結合(=非線形相互作用)によってドリフト波モードと呼ばれる低周波不安定揺動に移送されることを、実験的に計測することに世界で初めて成功した。これまでに低周波不安定揺動がプラズマ閉じ込めを悪化させることは明らかになっているため、今回の実験結果は高周波不安定揺動も低周波不安定揺動を経由してプラズマ閉じ込め性能を悪化させる原因であることを実証したものであり、この高周波不安定揺動を抑制することでプラズマ閉じ込め性能の向上に寄与するものと期待される。


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