仏首相、エネルギー移行問題で明言 原子力税で再生エネ支援

仏国のJーM.エロー首相(=写真)は21日、F.オランド大統領が公約した「2025年までに原子力発電シェアを50%まで削減する」方策として、原子力発電所による収益の一部を再生可能エネルギー拡大のために活用すると発表した。原子力への具体的な課税額は明確にしていないが、化石燃料に対する燃料消費税10億ユーロを2016年に再生エネに追加投入する法案は今週中にも国会が承認予定。現行の固定価格買い取り制度による再生エネ助成は、電気代の上昇やその他の電源の競争力低下を引き起しがちであることから、これらの見直しも行うと見られている。

今回の首相発言は20日からパリで2日間開催されていた環境会議の閉会演説によるもの。仏国では2050年までのエネルギー政策の方向性について昨年11月から今年7月まで全国討論が行われ、その終了を示す環境会議の場で総括文書が政府に提出された。しかし、討論に参加した各界の代表者達は同文書の内容に同意しないなど政府への勧告とりまとめには至っておらず、これを叩き台とするエネルギー枠組法案策定の行方が危ぶまれていた。

首相はまず、全国討論でエネルギー政策におけるあらゆる側面やすべてのエネルギー源が初めて取り上げられたと賞賛。導き出された2つの方向性として(1)エネルギー消費量の削減(2)再生エネ拡大のためにエネルギー・ミックスのバランスを徐々に修正――を挙げており、これらに沿った法案を来年末までに成立させるため、P.マルタン・エネルギー大臣が準備中であるとした。

首相はまた、オランド大統領がこの前日、原子力発電シェアの削減をエネルギーの効率化と再生エネで進めると改めて述べた点に触れ、この目標達成のために再生エネの利用を大幅に拡大する必要があることを意味すると断言。仏国はすでに、年間40億ユーロを再生可能エネルギー開発に、10億ユーロをエネルギーの効率化対策に投入しているが、エネルギー・ミックス中のすべてのエネルギー源が財政資源を必要としていることは明白であり、長期的な恩恵をもたらすいかなる変革も、短期的にはコストがかかるものだと説明した。

このために成すべき事として首相は、(1)新たな燃料消費税として16年に10億ユーロを追加(2)国内の既存原子炉で最大限の安全を確保しつつ、残りの運転寿命を通じて収益を活用する――と明言。電力供給に支障を来すことのないよう、原子力発電所に貢献させる方針だとしている。

化石燃料への燃料消費税は来年から徐々に導入。ガソリンやディーゼル燃料、石炭、ガス、およびその他の石油製品が対象となる一方、輸送業と漁業部門の産業は課税を免除されることになる。


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