産総研、がん治療の標準を開発 医療リニアック

産業技術総合研究所は12日、がんの放射線治療に用いられている医療用リニアック(=写真)からの高エネルギー光子線に対する水吸収線量標準を開発したと発表した。

がん患部に正確に放射線を照射することで治療効果が左右されるため、放射線治療の際には極力正確な線量評価が求められている。しかしこれまで医療用リニアックの高エネルギー光子線に対する水吸収線量を直接評価する標準が国内になく、線量評価の不確かさを小さくすることに限界があったもので、今回の標準開発で、より正確な線量評価により放射線治療の高度化が期待される。

今後、同研究所では、開発した医療用リニアックからの高エネルギー光子線の標準供給を平成25年11月ごろから開始する。また、平成27年に国際度量衡局と国際比較を行う予定だ。一方、医療用リニアックからの高エネルギー電子線に対する国家標準は平成26年度からの立ち上げをめざし準備を進めている。医療用リニアックは、電圧換算で数百万Vから千数百万Vで加速された電子を用いて高エネルギー光子線や高エネルギー電子線を発生させ、患部に照射することでがんなどを治療する放射線治療装置。


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