「枠超えた関与を」 汚染水問題で 規制委 有識者と公開意見交換

原子力規制委員会の田中俊一委員長は9月30日、福島発電所事故調査などに携わった有識者らを招き、公開で意見交換を行った(=写真)。同委発足1年を機とするもの。

田中委員長はまず、この1年間の取組状況を述べ、「組織と規制のあり方」、「福島のこれから」をテーマに掲げ、意見を求めた。

組織体制に関し、民間事故調に関わった船橋洋一氏(日本再建イニシアティブ)が、事故発生時の初動体制等、規制庁職員の使命感に期待を述べたのに対し、委員長は、今後の原子力安全基盤機構との統合に伴い、いわゆる「役所の枠」に入れ込むことへの困難を懸念するなどした。この点で、国会事故調に関わった野村修也氏(中央大学教授)は、「世界の原子力にも発言」できるよう、原子力規制庁自体の改革も必要と指摘した。

福島対応で、田中委員長は、喫緊の汚染水問題に鑑み、「規制委員会の枠を超えた関与がどこまでできるか」などと、問題提起した。これに関連し、政府事故調をリードした畑村洋太郎氏(東京大学名誉教授)は、サイト外の事象に関心を向ける重要性を強調し、避難住民の今後の帰還に向け、「集める、運ぶ、溜める」の既存の除染概念を根本的に考え直す必要を訴えた。

また気候ネットワーク代表の浅岡美恵氏は、水俣病問題にも言及し、汚染水対策の困難さを述べるなどした。


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