電力価格の高騰に警鐘 エネルギー会議 原子力再稼働など議論

原子力・エネルギー関係の有識者らが主宰する「日本エネルギー会議」は9月27日、都内でシンポジウムを開催した。

討論では、まず、前IEA事務局長の田中伸男氏が基調講演を行い、その中で、35年頃までにアジアの多くの国で石油・ガスの輸入依存が増大、エネルギー情勢は殊に中国では深刻化する一方で、シェール革命で米国「1人勝ち」の状況になりそうだと予測した。その上で、日本では、イラン・ホルムズ海峡情勢、石油備蓄能力などから、原子力発電所の再稼働がなければ経常収支は12兆円の赤字計上と述べ、今後の電力価格高騰に警鐘を鳴らし、アジア大でのエネルギー安全保障を確保する上でも、エネルギー自給率の低い国で「原子力は重要なオプション」と強調した。

これに対し、原子力学会で安全標準の策定にも関わった宮野廣氏(法政大学客員教授)は、再稼働に関し、「判断する人をどう育成するか、マネジメントは極めて重要な問題」などと、規制当局のリソース向上を指摘した。

また、エネルギー行政に携わった経験のある澤昭裕氏(21世紀政策研究所研究主幹)は、米国のTMI事故以降の立て直し経緯にも触れ、「人材は長期の課題」などと述べた。

田中氏は、討論の中で、エネルギー政策の立案に関し、世論調査を利用することの問題点、石油ショックの経験にも触れながら、再稼働については、海外からも人材を結集し、競争させながら進めることを提唱した。


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