[インタビュー] 国際原子力機関で働く− IAEA日本人職員に聞く−(1)

国際機関において日本の存在感が十分示せていないことが指摘されて久しいが、日本が拠出額で米国に次ぐ2位でありながらも日本人職員数が少ない国際原子力機関(IAEA)もその1つである。

こうした中で先日のIAEA総会中、いきいきと働く9人の日本人職員たちに出会い、現在の仕事内容や、国際機関で働く中で日本をどのように見るか、また国際機関勤務に興味を持つ人へのメッセージなどを聞くことができた。

廃棄物安全専門家 熊野 裕美子 氏

東京電力から派遣されて約1年半。放射性廃棄物の処理処分や使用済燃料貯蔵に関する技術文書、IAEA規則作成に携わっている。

日本では組織として仕事をするという意識が強く、上司と密に相談・報告しつつプロジェクトを進めていたが、IAEAでは1人のスタッフにプロジェクトの立案から実施までの権限を委譲されることが多く、責任範囲が広い分大変だがやりがいを感じる。

日本にとって国際機関は遠い存在に感じてしまうかもしれないが、情報発信・意見交換の場として国際機関を積極的に活用していってほしい。

広報専門家 出雲 晃 氏

経産省から出向しており、2012年から現在のポストに就いた。最近のIAEA広報誌にも寄稿している。

今回総会で日本代表としてスピーチした山本特命大臣のブログにも、国際機関に勤める日本人職員のサポートに積極的な姿勢が記されていた。日本人が海外に出て自分の力を試してみることは重要だと感じる。

広報にあたっては、ただ事実を伝えることにとどまらず、それを聞いた相手がどのように反応するか先を読んで発信することが大切だ。事故の報告でも、ミスについて正しく伝えることはもちろん、そのリカバリーについてもきちんと説明するなど、戦略を立てて発表するべきだと思う。

上席原子力知識管理官 足立 文緒 氏

経済産業省から出向し、使える情報をいかに取り出し共有していくかを整備していく知識管理部門に所属している。

仕事に際して、日本は組織としてのポテンシャルは高い。IAEA内で仕事の進め方に非効率だと感じる部分もあり、重点国を決めて予算の配分を決めていったり、各部署での類似のプロジェクトをまとめて取り組んだりするなど、進め方について提案していきたい。

一市民としてエネルギーについて考える時、安全で安くて安定した電気は不可欠であり、エネルギーミックスの1つとしてきちんとリスクを管理した上で原子力を維持していくことは重要と感じる。放射線の説明なども、女性の医学専門家が行うと受け入れてもらいやすいと聞いており、原子力界での女性の活躍も応援したい。


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