がん治療に新規素材 東海大学 照射精度の向上が期待

東海大学は2日、新たなガン治療への応用が期待できる新規素材の開発に成功したことを発表した。

理学部の冨田恒之講師の研究成果で、ガンの放射線治療法の1つとして研究が進んでいるホウ素中性子捕捉療法(BNCT法)に応用できる「ホウ酸イットリウム」と呼ばれる無機化合物の微粒子。

ホウ素を含む化合物は従来から広く研究されてきたが、ホウ素の含有量を高くできないという課題があった。そこで、溶液中で化学反応を発生させる独自の技術「均一沈殿法」を用い、ホウ素を約20%含む50から100ナノメートルの微粒子の合成を行い、成功した。

今回開発された微粒子には、人体への影響が少ない中性子を照射すると、近くにある数個の細胞を破壊する力を持つアルファ線やリチウム線を放出する性質を持つホウ素の同位体が含まれている。そのため、この微粒子を攻撃したいガン細胞の周囲に投与し中性子線を照射することで、健康な組織への影響を最小限に抑えつつガン細胞を攻撃することが可能になると期待されるという。

BNCT法は原子炉等から発生する中性子とそれに増感効果のあるほう素との反応を利用して、正常細胞にあまり損傷を与えず、腫瘍細胞のみを選択的に破壊する治療法。現在は臨床研究の段階にある。


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