仏独企業に建屋設備発注 ITER計画で大規模契約

国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進する欧州連合(EU)の担当組織「フュージョン・フォー・エナジー(F4E)」は10月29日、トカマク複合施設の建屋設備について仏独の企業連合と総額5億3000万ユーロ(約700億円)の契約を締結したと発表した。仏国・南部カダラッシュのITER建設サイトでは現在、免震ピットの補強作業中。2020年の運転開始を目指して、年内にもトカマク複合施設の土台となる同ピットでコンクリート打設が行われる見通しだ。

ITER計画には日本とEU、ロシア、米、韓、中、印の七極が参加しており、2005年に建設サイトをカダラッシュに決定。42ヘクタールの敷地内に39の関連建屋を建設予定で、トカマク型実験炉の格納建屋と診断棟、およびトリチウム棟の3建屋等で構成されるトカマク複合施設の総容積は9万7200立方メートルに達する。

今回の契約はF4Eの発注額としては最大規模。仏国の大手ガス企業GDFスエズ社の子会社として暖房・換気・空調(HVAC)、電気工学機器、産業インフラ建設をそれぞれ担当する3社、およびドイツに本拠地を置く建設エンジニアリング企業であるM+Wグループが受注した。

今後6年の間に、トカマク複合施設の3建屋を含む13建屋について、空調管理や電気機器システム等の設備の設計・建築およびメンテナンスを行う。また、計装制御系や流体ネットワーク、最新型火災探知・防止システムの供給も含まれるとしている。作業は1年間のエンジニアリング段階を経て来年9月に開始予定。その後、5年間の建設作業に入ることになる。

F4Eは今回の契約について、「新たな事業機会を生むノウハウの獲得と共有に向けて、前代未聞の好機が欧州企業に与えられたという点で非常に重要だ」と評価した。同計画で本体サイトの誘致を逸した日本は、カダラッシュでの活動を補完・支援する「幅広いアプローチ(BA)」活動の一環として、茨城県那珂町でサテライト・トカマク装置の建設等を推進。本体機器の一部も含めて2000億円相当の調達が配分されており、すでに三菱重工がトロイダル磁場コイル3基の製作を受注済みだ。


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