共同行動計画で欧米6か国と合意 イランの核開発問題

イランの核開発問題を巡り、欧米6か国は24日に同国との合意項目を示した共同行動計画を発表した。イランの原子力プログラムが平和利用に限られていることを保証する長期間の包括的解決に向けた最初のステップとして、イランが6か月の猶予期間にウラン濃縮などの活動を制限する見返りに、欧米側はイランに科してきた経済制裁の一部を停止するという内容。両者が設置する共同委員会が履行状況を検証することになった。

イランが自発的に行う方策は次の通り。すなわち、(1)20%に濃縮された在庫ウランの半分はテヘランにある研究炉(TRR)の燃料製造用に保持するが、残りは濃縮度が5%以上とならないよう希釈する(2)6か月の間、イランは5%以上の濃縮を行わない(3)6か月の間、ナタンズとフルドウにある濃縮工場で、さらなる設備増強や遠心機への六フッ化ウラン供給等の活動を進展させないほか、アラクで建設中の重水炉の起動、燃料と重水の搬入、残りの機器設置等を行わない(4)新たな濃縮工場を設置しない(5)IAEAによるモニタリング強化の一環として、イランが計画する原子力施設の詳細情報をIAEAに提供する――など。

査察に関しては特に、中間在庫検認や実在庫検認等のための査察官が不在の際も、IAEA査察官が日常的に立ち入ること、ナタンズとフルドウでオフライン検査記録に抜き打ちでアクセスすることを明記した。

これに対して、米、英、独、仏、露、中の6か国は経済制裁の一部を解除するとともに、6か月の間は国連安保理とEU、米国が原子力関連でイランに新たな制裁を科さない――などとしている。

また、同共同行動計画の採択から1年以内に開始する最終ステップとしては、長期の期間設定で合意するとともに、核不拡散条約(NPT)とIAEA保障措置協定の加盟国の権利と義務を反映。国連安保理や多国間の原子力関連制裁を全面的に撤廃し、双方が合意した制限範囲とレベルでイランの濃縮プログラムを特定するなどとした。

このような最終ステップが設定期間中、成功裏に実行された暁には、イランの原子力プログラムもNPTに加盟する他の非核兵器国のそれと同等に扱われることになる。

共同行動計画の発表後、イランのH.ローハニ大統領(=写真)は国内の記者会見で「交渉次第ですべての制裁が徐々に解除されるだろう」と強調。NPT加盟国として濃縮の権利を有するイランは、ナタンズ等で濃縮活動を続けていけると明言しており、同国との今後の交渉が注目される。


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