一定程度の維持を IEA事務局長 電源構成で原子力発電

経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(分科会長=三村明夫・新日鐵住金相談役)は11月28日、IEAのマリア・ファンデルフーフェン事務局長(=写真、左から1人目)より、「世界エネルギー見通し2013」についての講演で、35年までを見込んだ世界のエネルギー情勢の分析結果について聞き、質疑応答を行った。ファンデルフーフェン事務局長は、12〜35年の世界のエネルギー需要増のシェアについて、OECD諸国ではわずか4%にとどまるものの、非OECDのアジア諸国では65%にも上るとして、「エネルギー需要増の原動力は南アジア」にあることを示した。その中で、今後10年程度は中国が引き上げの中心となるものの、20年代からはインドがとって代わるとしている。また、化石燃料の1次エネルギーに占める割合は、現在の82%から、35年では約75%に下がるに過ぎず、CO排出量も特に、非OECD諸国で増大するとし、20年までには対策を講じるべきとした。

日本に関しては、政府のエネルギー政策によると断った上で、電力需要は今後、緩やかに増加すると予測し、電源別に原子力は再稼働で一定のシェアを維持することなどを図示したが、既存炉の運転期間延長や新規建設がなければ減少するとの見方も示した。

エネルギー集約型製品の世界市場において、米国、中国が「勝ち組」に入るなどと同事務局長が述べたのを受け、委員から国内産業競争力への影響を問う質問が出たのに対し、IEAの分析官は、日本の電源別発電構成で、原子力は35年で14%までに回復するとの見通しを示しながら、「低コストのオプション」として、維持していく必要を示唆した。


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