建築・都市工学の知見も 都市大・早大 地震リスクで議論

大地震に伴う建物や土木構築物へのリスク評価・耐震技術について考えるシンポジウムが11月25日、東京・渋谷区のホテルで開かれた。東京都市大学と早稲田大学の共同大学院の主催によるもので、福島原子力発電所事故を踏まえたリスク評価手法や地域防災対策に関する最近の研究成果を紹介し議論した。

シンポジウムではまず、原子力安全基盤機構(JNES)の平野光將技術顧問が、福島第一発電所の地震・津波に伴う事態の進展、安全規制の見直しの経緯について説明した上、リスク情報活用の考え方、確率論的リスク評価(PRA)の特徴と不確かさなどを述べ議論に先鞭をつけた。

これに続き、都市大の村松健特任教授は、事故による被害はシナリオによって大きく異なるとして、PRA手法では「シナリオを網羅し分析することが重要」と述べ、1975年以降、シナリオを樹形図で表現した「イベントツリー」が今日まで用いられ、また、地震・津波などの外的事象についても、80年代からPRA手法が整備されていることを説明した。

また、JNESの蛯沢勝三理事は、地震リスク評価を踏まえた原子力防災システム「TiPEEZ」の開発を披露し、新潟工科大学との協力による柏崎刈羽地域での訓練や、リスクコミュニケーション活動など、実践的取組を紹介した。

この他、建築・都市工学の専門家より、道路、鉄橋などの社会基盤施設に関するリスク評価・耐震技術についても発表を受け、自然災害への頑健性に向け、知見を共有する重要性が確認された。


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