中仏が原子力協力強化 第三国の計画にも共同参加へ中国を5日間の日程で公式訪問していた仏国のJ―M.エロー首相は6日、両国が民生用原子力分野における連携を一層強化し、英国など第三国の新設計画にも共同参加していくことで合意したことを明らかにした。 同首相の訪中は両国が来年、国交樹立50周年を迎えるのを機に行われたもので、協力強化が確認された分野は原子力のほかに航空、宇宙、農産品、医療品、投資など多岐にわたる。P.マルタン環境・持続可能開発・エネルギー大臣を含む5閣僚がエロー首相に同行したほか、原子力産業界からも仏電力(EDF)やアレバ社、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)、仏原子力安全規制当局(ASN)の幹部が一行に参加。EDFの協力により欧州加圧水型炉(EPR)が2基建設中の広東省台山原子力発電所サイトの視察も行われた。 重要な協力分野である原子力については協力開始後30周年を記念する共同サミットが北京で開催され、今後は核燃料サイクルのフロントとバックの両エンドや原子炉開発、原子力セキュリティ、および潜在的な国際市場を共同開発していく点で両国は合意。放射性廃棄物のリサイクルや処理プラントのプロジェクトで協力するとしたほか、第三国市場への共同参加例として、10月に英国のヒンクリーポイントC建設計画でEDFグループとアレバ社に加えて、中国広核集団有限公司(CGN)と中国核工業集団公司(CNNC)が合計30〜40%出資することになった事実に言及した。 また、新華社電によると、中国の李克強首相は同分野における両国の立場を現在より同等なものにしたいとの見解を表明。新型炉の共同研究開発や経験の共有促進などを通じて、一層の技術移転を仏国に要請したと伝えられている。 民生用原子力分野での両国の協力は1982年11月に結ばれた協力取極めに始まり、90年代半ばにはアレバ社が設計した中国初の100万kW級PWR2基が広東大亜湾原子力発電所として運転を開始。その後、仏国の技術をベースにCGNが開発した100万kW級PWRの「CPR1000」が広東嶺澳原発その他で稼働中あるいは建設中となっている。 仏エロー首相の訪中に同行したアレバ社の幹部は、原子力と再生可能エネルギーの分野でCNNCおよびCGNと複数のパートナーシップ協定を締結した。 同社の9日付けの発表によると、CNNCが2014年と15年に福建省で着工予定の福清原発5、6号機用としてデジタル式・計装制御(I&C)系「TELEPERM・XS」をCNNCに供給する契約を結んだ。同システムはすでに、中国を含む14か国で認可を受け、世界の14の異なる原子炉設計に80台が設置済み。同社は中国でも、稼働中の田湾1、2号機、嶺澳3、4号機、秦山1号機にデジタルI&Cを供給した実績を持つほか、建設中の福清3、4号機と台山1、2号機にも納入することになっている。 CNNCとはまた、核燃料サイクルのフロント・エンド事業として、中国国内にジルカロイ合金の製造・転換施設を建設する合弁企業の設立に向けた調査で基本合意書(LOI)に調印した。このLOIは、10年にジルカロイ合金製・燃料被覆管製造のための合弁企業「CAST」の創設を目的に両社間で始まった産業技術協力の一環。17年までに中国市場向けのジルカロイ合金を年間600トン製造することを目指す。 アレバ社はこのほか、CGNとは再生可能エネルギー分野における連携協定を締結。市場におけるアレバ社のプレゼンスを強化しつつ、中国の原子力と再生可能エネルギー開発を支援していきたいとしている。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |