除染のあり方考えるWS開く除染費用の試算も

福島原子力災害に伴う除染のあり方を考える産業技術総合研究所主催のワークショップが11月29日、東京・秋葉原で開かれた。

このなかで同研究所は、費用に関して、除染方法・シナリオ別に試算を行い、国が直轄で実施する除染特別区域で約1.14〜2.03兆円、その周辺の除染実施区域(福島県内)で約0.7〜3.1兆円との推計を示した。

また除染後の帰還意志を決定する因子の定量化に関する東京大学との共同調査が報告され、「放射線は命に関わる、恐ろしい」といった「破滅因子」が影響を与えるなどとするリスク認知の特徴を示した上で、「どのような人が帰還するか」という情報も、帰還後の復興に向けた議論で重要になるとの分析結果をあげた。

原子力規制委員会が先般取りまとめた帰還に向けた安全・安心対策の考え方を巡っては、横浜国立大学名誉教授の中西準子氏が講演の中で、除染目標値の設定について、(1)空間線量率(2)帰還時期(3)技術的限界(4)費用――を考慮すべき項目に掲げ、15年程度を1つの区切りとして「解を見つけるべき」などと提案をした。また、中西氏は、リスク情報に関して、政策立案上「10のマイナス何乗」といった一定の安全度保証は必要だとした上で、完全な安全を目標値にすることはできないが、生活上の安心感を得られるレベルを示すことも重要などと主張した。


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