【インタビュー】西山 潤氏 東京工業大学助教、YGNJ会長 視野広げる活動を IYNCの日本開催も 若手世代の連携深め原子力分野の技術や経験の継承にあたって、とくに若手人材の育成は最重要課題だ。幅広い視野で考えることのできる人材が求められているが、現実には仕事外、学外の連携が難しい状況もある。そこで日本原子力学会の原子力青年ネットワーク連絡会(YGNJ)の会長をつとめる東京工業大学の西山潤助教に、今後の若手世代の連携等の取り組みについてうかがった。 東京工業大学の助教に就くことが決まり、引っ越しなど目前に控えていたとき、東日本大震災を経験した。「事故の前には、五重の壁が壊れるなどとは考えもしなかった。原子力を専攻する身として、大きなショックを受けた」。 安全神話をめぐる議論などを日本原子力学会の若手世代で議論する機会を通じ、自分の知らなかった事など、狭いところで活動していた自分たちの姿に気付く。 原子力ムラという言われ方もするが、以前の状況を振り返ると「狭い分野しか知らず、人脈もあまりないというのが実感だった。ムラというより都会のマンションのように隣りの人もよく知らないという感じになっていた。横の連携がなかった」。 それだけに「安全問題など幅広い視野をもつ必要を痛感」し、YGNJの活動で原子力若手討論会を開催するなど、様々な場で仕事、研究をする人間たちと議論し、つながりを持ち始め、重要な人材問題を切り口に議論を深める活動などを積極的に進めてきた。 そんな活動の先には、国際的な連携という課題もある。YGNという組織はもともと欧州中心に発足したこともあり、原子力開発に積極的なアジア地域での活動は正直弱い。最近では中国などで組織が立ち上がるなど新たな動きもみられているが、本格的な活動はこれからだという。欧州に比べると、企業外や学外活動に対する認識など、日本を含めて現実のカベがあるのも確かだ。 しかし、「2018年に開催されるIYNC(原子力青年国際会議)を日本で開催するための活動を開始している。まず足場固めをしっかりしたい」と、具体的な目標を掲げた。IYNCは、各国のYGNが一堂に会する国際会議で、過去に1回招致活動をしたが招致に至らなかった経緯がある。 それでも「福島第一原子力発電所の事故の経験を共有していく必要があるし、日本にはいままで培ってきた技術、経験がある。国際的に日本がイニシャティブを握れるよう努力していきたい」と話す。 長年培われた優れた日本の原子力技術と経験を次代に継承していくには、とくに若手世代の育成が不可欠であることは、誰しも異論はないだろう。しかし、そのためには、奮起する彼らの意欲に応えていく、周囲の姿勢も問われることは間違いない。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |