帰還と新生活の両面 政府見直し 復興・再生支援策

政府は12月20日、原子力災害からの福島の復興・再生を加速させるための指針を閣議決定した。帰還支援と新生活支援の2つからなる支援策を提示し、実情に即した福島再生を具体化するもの。指針では、今後の対応の全体像を明確にする考えから、(1)早期帰還支援と新生活支援の両面から福島を支える(2)福島第一原子力発電所の事故収束に向けた取組を強化する(3)国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する――を基本的方向性に掲げ、まず、避難指示解除準備区域や居住制限区域では、被ばく低減・健康相談などの安全・安心対策、賠償措置、復興の動きと連携した除染を図るほか、13年度補正予算から「福島再生加速化交付金」を新設し、帰還に向けた環境整備も行うとしている。

一方、帰還困難区域では、移転先・移住先での新たな生活に必要十分な賠償の追加や、区域内外に復興拠点を整備し、コミュニティ維持が図れるよう努め、今後については、これらを実施しつつ、除染モデル事業の結果による放射線量の見通し、住民の帰還意向、将来の産業ビジョンなどを踏まえ、地元とともに検討するとしている。

また、事故収束については、これまでの廃炉対策推進会議(経済産業省)を、廃炉・汚染水対策閣僚会議(原子力災害対策本部)に統合・一本化し、国の司令塔機能を強化することとし、東京電力に対しては、全社的な観点から資源を投じて廃炉・汚染水対策に持続・集中的に取り組むよう、可及的速やかに社内分社化、制度改革を踏まえた事業ごとの子社化を求めている。

除染については実施済みと計画中のもので約2.5兆円、中間貯蔵施設については約1.1兆円として現時点で試算されているが、これらや賠償額を踏まえ、14年度予算で原子力損害賠償機構への交付引き上げを計上する。


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