発送電分離にリスク 5つの提言 原子力の収益性確保を

日経・CSISバーチャル・シンクタンクは12月24日、エネルギー安定供給と調和した電気事業改革の推進に向けて提言をまとめ公表した。

総合エネルギー企業の育成、共同調達等を通じた燃料安定供給の強化や、電力システム改革の下での原子力発電事業の運営など5つの提言を行った。

提言のなかで、電力システム改革の下での原子力発電事業の運営については、「過酷事故リスク等への対応における国の支援を明確にしないまま、発送電分離を進めれば、電気事業者は財務体質の弱体化と共に原子力発電を放棄することも考えられる」として、「発送電分離下での原発事業運営には、原子力損害賠償法の再構築等により、国の役割と支援を明確にした原子力事故対応制度を整備する必要がある」と指摘した。

また、「発送電分離下では事業収益は保障されず、投資リスクの大きい原発やバックエンド事業の運営や投資が円滑に進まない可能性がある」問題点をあげ、「原子力発電部門を各電気事業者から分社化・統合を行って新原子力発電会社を設立するなどにより原発部門を強化する」こと、「廃棄物処分における国の役割を明確化し、固定価格買取など原子力事業の収益確保を図る制度を整備する」ことの必要性をあげた。

同シンクタンクは、日本経済新聞が米戦略国際問題研究所(CSIS)の協力を得て創設したもので、新しい形の政策提言機関を生み出そうとする試みとして提言などの活動を行っている。

今回の提言は3つある部会のうちエネルギー等を扱う第3部会(座長=山地憲治・地球環境産業技術研究所長)がまとめた。


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