海外重大事故炉の状況を検証 安全基盤機構 廃止措置に関する知見まとめ

原子力安全基盤機構はこのほど、海外で重大事故を起こした原子炉の廃止措置状況や、IAEA調査団の助言などに基づき、現在進められている福島第一発電所1〜4号機廃炉の安全規制に係る留意事項や、被災地の環境修復に参考となる情報を取りまとめた。

炉心損傷などの重大事故により損傷した海外の原子炉として、米国のスリーマイルアイランド2号、旧ソ連のチェルノブイリ4号、英国のウインズケールパイル1号について、事故の概要、事故後の措置、廃止措置活動の状況などを整理したほか、IAEAの廃止措置に関する文書や国際ミッションの助言事項も踏まえ、福島第一事故炉の廃止措置に関する安全規制の留意点を、前段階、準備段階、実施段階に分類し取りまとめた。

まず、廃止措置に移行する前段階の留意点としては、燃料デブリが取り出され、放射性物質の閉じ込め機能が維持されており、その処理・処分に向け、特性が把握されていることをあげている。続く準備段階では、廃止措置のエンドステート(最終形態)の決定、エンドポイント(廃棄物の最終行き先)や長期的安全対策を含めた包括的放射性廃棄物の管理計画の必要などを述べている。

例えば、チェルノブイリ事故処置の重要課題として、IAEA文書では、放射性廃棄物管理プログラムが確立されていないことを指摘しているが、これに関して、福島事故炉についても、廃棄物の性状、量、種類、放射能レベルなどを調査し、体系立った管理計画が策定されるべきなどと、今回の取りまとめでは述べている。

また、環境修復に関しては、法的枠組みの確立、プロセスに参加する機関の役割と責任の明確化、修復基準の選択とサイトの特性調査、修復対策の最適化と修復計画の策定などについて、必要な情報を整理している。


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