ハンガリーが2基増設へ 融資調達でロシアと政府間合意

ハンガリー政府は15日、ロシアと結んだ原子力平和利用分野における協力協定の下、国内唯一の原子力発電所であるパクシュ原発に建て替え用原子炉を2基増設する計画をロシアからの融資により進めると発表した。

総工費の8割に当たる100億ユーロが21年ローンで提供される取り決めで、政府は同原発の設備容量維持のため、経年化炉を大型のロシア型PWR(VVER)でリプレースするとの考えを明示。ハンガリーのV.オルバーン首相(=写真左)とロシアのV.プーチン大統領の会談に合わせて合意文書が14日にモスクワで調印されており、同文書は今後、ハンガリー議会の承認を得るために提出される計画だ。

パクシュ原発では出力50万kWのVVERが80年代から4基稼働している。国内総発電電力量の4割を賄う重要電源であることから、同国の規制当局は2012年、1号機の運転認可を32年まで20年間延長することを承認。残り3基も順次、運転認可を延長していくと見られていた。

同国のM.バルガ経済相によると、市場では通常10〜15年で完済する融資が21年という長期になり、政府の財政負担は残りの2割に留まる。また、全体の4割にあたる30億〜40億ユーロがハンガリーの国内企業に落ちることから、少なくとも10億ユーロが税金その他の形で国庫に入ると明言。2基の増設炉は安全で低価格な電力供給を保証することになると強調した。

ロシア政府を代表して合意文書に調印したロスアトム社によると、ロシア側は原子炉のほかに装荷燃料も供給する予定。これに関連して、(1)原子炉建設(2)燃料供給(3)その他の関連サービス提供――の基本的な契約条件について、ロスアトム社傘下のルスアトム・オーバーシーズ社とパクシュ原発を所有するMVM社が合意文書を交わしたことを明らかにしている。


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