英デコミ機構、プル管理計画で状況報告 新設炉見込み、プルサーマル英国の原子力デコミッショニング機構(NDA)は20日、2030〜35年の開始を目指してエネルギー気候変動省(DECC)と進めている、国内のプルトニウム管理計画の進展状況を説明する政策方針書を公表した。過去2年間の評価結果として、MOX燃料に転換して軽水炉で再利用することが政府の最も望ましいとする管理方法として留まっているものの、信頼性のあるオプションとしてCANDUエナジー社製の「改良型CANDU6(EC6)」、GE日立ニュークリア・エナジー社製の高速炉「PRISM」で再利用することについても技術的な段階に調査を進めていくとしている。 いずれの技術にも長短があるが、完璧な解決法は存在しないとして、NDAでは多重的なアプローチも視野に入れて最適な税金の使い方を探ると言明。すべてのオプションに関する技術的、商業的なリスクと不確定要素について、一定レベルの理解を得るとともに商業利用に向けた理解も促進する必要があることから、最終的なオプションの選定とその実行に向けて、今後1〜2年の間にメーカー側と技術調査を行う考えだとしている。 英国では既存の再処理プログラム終了時に約140トンのプルトニウムが国内に残ると予測されており、DECCは2011年2月にプルトニウムを戦略的かつ長期的に管理する方策として(1)現在の長期貯蔵の継続(2)固化後に直接処分(3)MOX燃料に加工し原子炉で再利用――を挙げ、政府が(3)を最も有望視しているとの予備的見解も含めて公開諮問を開始。同年12月には聴取したすべての見解から「(3)案が最も望ましいことが確認された」とし、大部分のプルトニウムをMOX燃料として再利用、転換不能な残りは固化処分すべきとの見解を表明していた。 同見解はまだ確定したものではなく、最終決定前の実証やリスク軽減などさらなる段階の作業が必要であるため、DECCを支援するNDAはその後、軽水炉でのMOX利用に関する技術的、商業的な観点からの詳細調査に加えて、MOX以外の再利用について代替提案の募集、再利用しないオプションについても審査を実施した。 プルサーマルの実施NDAは使用済み燃料の成分などMOX燃料としての品質要件について徹底的に在庫分析しており、全量をMOXとして扱うことは85〜90%使うより実質的に高額になることを再確認。廃棄物としての扱いを含めた多重方式を採る必要性が出てきたとしている。また、米エネルギー省(DOE)が兵器級余剰プル再利用のために進めるMOX燃料製造工場の建設計画でコストが増加し完成日程も遅延していることは、NDAのMOX利用計画におけるコストと実施可能性への確信にも影響したという。 しかし、英国の原子炉新設計画では、MOX利用の最適経路となる軽水炉の営業運転開始が最短で2023年に予想される。新設計画で軽水炉が採用される点を前提とすれば、大部分のプルトニウムについては技術的に成熟したオプションであり、日程的なリスクはあるとしてもプルサーマルは適用可能。MOXとして利用するオプションを確立し、メーカーや事業者、投資家の参加意思などを探る上で、今後の1〜2年は重要との見方をNDAは示している。 プルサーマルの代替案NDAはこのほか、メーカー2社の提案するEC6とPRISM炉でプルを再利用するオプションについても徹底的に審査しており、プルサーマルと比べて長短はあるものの、どちらも適用可能だと明言。2030年以降の再利用開始を目指す長期計画として3つのオプション適用に関してさらなる作業を進めていくとしている。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |