虚偽陳述疑惑に対し解決金 GEH社

米司法省は23日、GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社が開発した先進的原子炉設計であるESBWR(高経済性・単純化BWR)の設計認証(DC)審査において、米エネルギー省(DOE)および米原子力規制委員会(NRC)に虚偽の陳述を行ったとされる申し立てを解決するため、同社が270万ドルの支払に同意したと発表した。

ESBWRは通常運転中の炉心冷却を自然循環で行うなど、受動的安全性を取り入れた150万kW級の第3世代プラス炉。ミシガン州のフェルミ3号機建設計画を含む2件の建設・運転一括認可(COL)審査で採用が想定されているため、GEH社はCOL発給の条件となるDCの取得に向け、2007年から12年にかけて設計開発・DC取得コストの半分をDOEから受領していた。

問題となったのは蒸気中の余分な水滴を除去する蒸気乾燥機で、安全上重要な機器ではないものの、GEH社はその震動が発電所に害を及ぼさないことを実証する必要があった。しかし司法省の発表によると、GEH社は同装置の分析調査に既知の欠陥があることを隠蔽。同装置が適用基準を満たしていると適切に分析されること、信頼性のあるデータを使ってモデリングの正確さを確証したなどと虚偽の説明を政府に対し行ったという。

これは、GEH社元社員のL.ダンディ氏が虚偽請求取締法の下で政府に代わって申し立てたことに端を発しており、同氏は回収金の一部を受け取ることになる。GEH社は審査手続き全般においてこの疑いを明確に否定した模様で、司法省がこのクレームは根拠の乏しい「申し立て」に過ぎず、法的責任を判断するものではないとした点にも言及。今後のDC審査でNRCとの良好な作業環境を維持・強化するために今回の解決方法を取ったと見られている。

NRCはすでに11年3月、ESBWR設計について最終安全性評価報告書(FSER)と最終設計承認(FDA)を発給しており、DC発給までには関連規則の制定を残すのみ。今後の審査については、公衆の健康と安全を防護するため、ESBWRW設計の規制要件遵守状況を保証するなど、最終的な判断を下せるよう厳しく継続していくと明言した。


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