学生の「原子力離れ」議論 人材育成ネット 年度報告会開催

将来の原子力界を支える人材確保に向けた産学官連携の取組「原子力人材育成ネットワーク」の年度報告会が4日、都内で開かれ、高等教育、国内人材国際化、初等中等教育、実務段階、海外人材育成の5つの分科会から活動状況の発表を受け意見交換を行った(=写真)。

この中で、初等中等教育分科会からは、近畿大学原子力研究所より、同所で1991年から実施している熱出力1Wの研究炉「UTR―KINKI」を利用した学校教員向けの実験研修会の紹介があり、「間近で触ってみる」、「構造をパッと見る」ことを通じ、現場教育での実践に役立ててもらう意義が述べられた。研修会の累積受講者数は、教職員だけでも約5000人に上っており、受講を通じて、過剰な安心感や恐怖感の緩和、知識の体系化につながったなど、受講者にとって教育効果に実感があったものと評価している。

報告会では、分科会からの発表後、「学生の原子力離れを防げるか」と題する討論が行われ、原産協会から、12月に大阪、1月に東京で開催された「原子力産業セミナー」の来場学生数、参加企業数の動向について、また、福島工業高等専門学校から、国内33高専連携によるインターンシップなどを通じた基礎技術者育成事業について、それぞれ説明があった。

これを受けて、参加者からは、大学からも高専に出向いて優秀な学生の関心を喚起する必要を指摘する声や、電力供給などの社会的使命を示すべきといった意見もあったほか、IAEAの教育専門家会議に出席経験のある分科会メンバーは、原子力分野の人材確保が、今や世界的な問題となっていることを訴えかけた。


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