特性X線でCs可視化を 放医研 安価、軽量なカメラ開発

放射線医学総合研究所は1月23日、放射性セシウムを、原子の種類に特有なエネルギーを持つ特性X線で可視化する新しいカメラを開発したと発表した。従来のガンマ線検出型と異なり、重厚な遮へい材が不要で、軽量化、コストダウンも可能となり、除染作業や原子炉廃止措置での貢献が期待される。

効率的な除染作業や、原子炉廃止措置での汚染管理のため、放射性物質の存在を可視化して分布状況を把握するガンマカメラやコンプトンカメラがこれまで開発されてきたが、検出素子を厚くして透過力の高いガンマ線を捉える一方で、視野以外の方向を遮る必要から、鉛などの材料を遮へい材として使用しなければならず、感度を高めるには機材が重くなるという欠点があった。また、軽量化を図ったコンプトンカメラも、構造が複雑なことから高価なため、普及には問題があった。

今回、放医研が開発した「特性X線カメラ」は、ガンマ線ではなく、放射性セシウムが放出する32keVの特性X線を検出することで可視化するもので、ガンマ線は透過させ、特性X線のみをピンホールカメラとして作用するよう設計されているのが特徴だ。試作機は、大きさが225mm×175×mm242mm、重量が6.6kg(本体のみ)で、現在、除染で使用されているガンマカメラよりも同程度以上に小型・軽量、しかも高価な半導体素子を使用せず、入手が容易で安価なシンチレータと光電子増倍管を用いることで低コスト化を図っており、販売価格は、従来のガンマカメラやコンプトンカメラの1000〜3000万円を大きく下回る500万円以下になるものと見込まれている。


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