ポーランドが導入計画を改定 初号機の完成含め数年先送り

原子力の導入を目指すポーランド政府は1月29日、前日に閣議決定したばかりの改定版の原子力開発計画(PPEJ)を発表した。約20年前に最初の導入計画が頓挫した同国では多くの人材が諸外国に流出。原発の開発と運転に必要なインフラ全体を構築する必要があるとの認識から、2009年に公表した開発ロードマップから全体的に4〜5年、日程を先送りした内容で、2024年末までに最初の100万kW分を完成させるとしている。

発表記者会見ではPPEJを作成した経済省のH.トロヤノフスカ次官のみならず、J.ピエホチンスキ副首相も列席。まず背景状況について、ポーランドのエネルギー・ミックスにおける最優先事項として競争力増強の基盤となる安価なエネルギー確保の重要性を強調するとともに、国内で増加する電力需要を賄うためには原子力を含めて電源設備を現在の3350万kWから2030年までに4450万kWに増強する必要があると説明した。

PPEJの長期的なプロセスを通じて政府は単に原発を建設するのではなく、高い要件と基準を満たした原子力によりエネルギー部門で技術文化と専門的人材の雇用を生み出す新たな産業の進展を促すなど、経済社会と地域の開発推進力に位置付けていると強調。また、欧州委員会(EC)が欧州連合域内の温室効果ガス排出量にさらなる抑制目標を定めつつあることなどから、CO排出量ゼロの原子力をエネルギー構成要素に加える必要があるとしている。

経済省はまた、国際原子力機関(IAEA)の資料によると、原子力の導入には初号機の建設も含めて10〜15年間の準備作業が必要としている点に言及。関連法整備や組織の設置、科学的な研究、人材の訓練システムなどのインフラから始めるとの方針を表明した。

スケジュールの第1段階として、今年初頭から16年末までに第1原発の建設サイトと採用設計を決定し、第2段階の17年から18年末には建設計画に対する法的な承認を得る。19年から始まる第3段階で建設に着手し、これまで20年に設定していた初号機として、少なくとも100万kW分の完成を24年末までに設定。最終段階の25年以降、30年末までに少なくとも300万kW、35年の開発目標として、2つのサイトで600万kWの完成を設定したことを明らかにした。

PPEJは全164ページに及ぶ包括的な活動の指導書で、開発目的や日程、コスト分析、関連組織の役割と責任などを解説。これに加えて、高いレベルの安全性を確保するための法整備や福島事故の分析、サイトの選定、放射線防護、環境保全、人材の確保、関連科学技術研究、燃料の供給保証、深地層処分場建設の可能性を含む放射性廃棄物の管理、国内企業の持分、国民教育と情報提供、などに関する計画を提示している。


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