ヒンクリ−計画で協力強化 英仏が原子力共同宣言

英仏両国の首脳は1月31日、英国オックスフォードシャーで開催した二国間サミット(=写真)で原子力発電に関する宣言を発表した。欧州域内における地球温暖化防止の観点から、仏電力(EDF)グループが英国サマセット州で進めるヒンクリーポイントC原発建設計画など、英国の新設計画や原子力供給チェーンにおける中小企業の機会拡大、人材育成への投資で両国が一層協力を強化していくとしている。

今回のサミットには両国から外務、防衛、セキュリティ、宇宙、および原子力を管轄する各閣僚が出席。原子力宣言はこれら全分野における両国間の協力強化の一部という位置付けで、サミット終了後に英国のD.キャメロン首相と仏国のF.オランド大統領が記者会見で明らかにした。

同宣言ではまず、欧州委員会(EC)が先月22日に、EU加盟各国における2030年の温室効果ガス排出量として1990年のレベルから40%削減を目標として提案したことに言及。各国のエネルギー・ミックスに柔軟性をもたせるとともに、排出権取引制度の改革を保証する重要性に鑑み、両国はEC提案への後押しをエネルギー・温暖化防止イニシアチブに盛り込んでおり、コスト効果の高い低炭素社会への移行で原子力の役割は非常に重要との点で意見が一致したことを同宣言の中で再確認している。

両国はまた、相互の電力接続線開発や原子力および再生可能エネルギープロジェクトで、両国がいかに協働して行けるかの課題についても協議。英国エネルギー気候変動省のE.ディビー大臣は、2015年にパリで開催される次回COPで法的拘束力のある意欲的な合意達成に向けた支援を両国が展開していくこと、ヒンクリーポイント計画で英国政府とEDFが投資契約に関する主要項目で商業合意に達するなど原子力分野での連携はすでに結実していること、今回の宣言により両国が原子力開発で一層の商業的機会を模索していくことなどを強調した。

政府間の合意事項としては特に、ヒンクリー計画の投資契約がEC条約の「国家補助ルール」に触れるかについてECが実施している諮問協議に建設的に関与する点を明記した。EC条約では(1)国家財源の移転がある(2)一定の事業者に優位を与える(3)競争を歪める恐れがある(4)加盟国間の貿易に影響を与える――の4点に当てはまる国家的補助を「EUの共同市場と両立しない違法行為」と規定。この適用から除外されるためには、欧州の共通利益となる重要な計画の実現促進を目的とする補助であること等が実証されなければならない。

また、原子力供給チェーンにおける中小企業の事業チャンスを最大限に拡大する点でも両国は協働。人材育成プログラムや研究開発への投資を通じて熟練した労働力を確保し、原子力施設での緊急時計画やセキュリティについても能力増強で協力するとしている。

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その他の関連合意

今回のサミットでは、関連機関同士の合意として、以下のものを含めた13件の英仏協力文書が提示された。

EDFに機器供給している有資格の中小企業70社の団体であるPFMEと英原子力産業協会(NIA)が協力覚書に調印。両国内外の中小企業にさらなる事業利益がもたらされるよう、情報交換や対話を促進する。また、仏アレバ社が英国立原子力技術アカデミー(NSA)に対して戦略的・実務的支援の提供を約束。NSAの供給チェーン実習プログラムにアレバ社が提供する総額は10万ポンドに及ぶ見通しだ。

さらに、英国立原子力研究所(NNL)はアレバ社、EDF、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)のそれぞれと合意文書を締結。NNLの原子燃料研究拠点構想への関与に関連して、アレバ社とは燃料サイクル技術の開発で協働する一方、CEAが開発中の高速炉「ASTRID」も含め、燃料と原子炉の先進技術分野でCEAとの既存の協力覚書を強化する。EDFとは、研究開発での戦略的連携を進展させ、原子炉新設に伴う人材の教育訓練についても協力関係を深めていく。


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