米INPOなどからヒアリング 自主安全向上WG

原子力の自主的な安全性向上のあり方を検討する経済産業省のワーキンググループは5日、米国の電力研究所(EPRI)と原子力発電運転者協会(INPО)から、それぞれ取組状況を聴き議論した。前回の原子力エネルギー協会(NEI)と合わせ、これで、同WGが12月の中間まとめで、今後の議論として掲げていた米国産業界による3つの組織からの事例聴取が終わった。

EPRI副社長のニール・ウィルムハースト氏は、発電所のオンラインメンテナンス、信頼性重視保全など、EPRIのR&D支援により、米国では1990年代後半以降、設備利用率が改善したことを示した。また、日本の原子力事故を踏まえた「ポスト福島研究」では、改良型燃料被覆管・燃料チャンネルの研究など、シビアアクシデント時の放射性物質放出緩和戦略の取組を紹介した。

これを受けて、WG側から、「滅多に起きぬが起きると甚大な影響を及ぼす事象」に関する研究の必要がIAEAからも指摘されているなどと述べたのに対し、ウィルムハースト氏は、ダムの決壊の影響に関する研究が土木分野とも連携して実施されているとして、産業界の専門知識を集結して対応するEPRIの体制を強調した。

一方、INPОからは、国際部長のロジャー・スピナート氏が、TMI事故を踏まえ取り組んできた最高責任者が関与する効果的な自主規制の考え方などを述べ、「原子力安全におけるエクセレンスの推進」を掲げるINPОの使命を強調した。INPОでは中核となる活動の1つとして、事業者の評価を実施しているが、これについて、WG側からは、インセンティブ向上、ピアレビュー制度などに関する質問があった。スピナート氏は、INPОと日本の原子力安全推進協会との間で良好事例を共有していくことを期待するなどと述べている。


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