おたまじゃくしにも除染効果 農工大他

東京農工大学は7日、北海道大学と筑波大学と共同で、福島県川俣町の水田に生息するおたまじゃくしの放射性セシウム蓄積量が、除染を実施してから1年後、除染していない水田の5分の1まで低下しているとする研究結果を発表した。除染事業が、生態系での生物への放射性物質蓄積にもたらす効果を評価した事例といえる。

これは、福島第一原子力発電所事故被災地の川俣町にある除染された水田と、されていない水田で、トウキョウダルマガエルのおたまじゃくしと、水田土壌の放射性セシウムの蓄積について調査を行ったもので、除染1年後では、乾燥重量のおたまじゃくしのセシウム134、137の濃度は、除染された水田でそれぞれ600ベクレル/kg、890ベクレル/kgだったのに対し、無処理水田では3000ベクレル/kg、4500ベクレル/kgだった。また、除染水田の表層土壌(深さ0〜5cm)の放射セシウム濃度も、無処理水田と比べて約5分の1の濃度となっていた。

しかし、一方で、除染水田の表層土壌の放射性セシウム濃度は、除染直後と比べて、1年後では3.8倍にもなっていることがわかった。

研究チームでは、除染事業により、水田に生息する生物にもセシウムの蓄積量を減らす効果があるとした上で、除染後、増加した放射性セシウムについては、除染されていない周辺山林から流入しているものと推察し、今後、モニタリング、再汚染評価が必要なものとみている。


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