米エネ省のボーグル増設計画への融資保証 出資2社との交渉まとまる米エネルギー省(DOE)のE.モニッツ長官は20日、3、4号機の増設計画が進むジョージア州のA.Wボーグル原子力発電所サイトを訪れ、同増設計画に対して政府予算から正式に、ジョージア・パワー社およびオーグルソープ社分の融資保証65億ドルを付与することが正式決定したと発表した。計画全体で総額83億3000万ドルという条件付き融資保証の適用が2010年2月に承認されてから4年が経過し、参加企業2社との融資条件交渉がようやくまとまったもの。DOEは今後、残るジョージア州電力公社(MEAG)の保証枠18億ドルについて、同社との交渉を継続する。 政府の融資保証は2005年エネルギー政策法の中心的部分であり、温室効果ガスの排出抑制に役立つ革新的なエネルギー技術開発奨励策の一環として、再生可能エネルギーや先進的原子力発電などクリーン・エネルギー電源の建設計画に融資割当枠の最大100%、プロジェクト全コストの最大80%までを保証するという内容。巨額の建設費調達に苦慮する原子力事業者にとって、原子力発電施設分の割当総額185億ドルは頼みの綱とも言えるが、保証を受ける際の財務条件クリアが難しくなっている。 例としては、カルバートクリフス3号機増設計画への融資保証適用を求めてDOEと交渉していたコンステレーション社が、信用保証料として要請された総保証額の11.6%(8億8000万ドル)を支払うのは難しいとして、10年10月に同計画からの撤退を表明した。 ボーグル計画でも交渉締結期限はこれまでに幾度となく延長されており、資産価値の精査など、同計画に出資するサザン社傘下のジョージア・パワー社(45.7%)、オーグルソープ・パワー社(30%)、MEAG(22.7%)それぞれに特有の課題をクリアする協議が行われた模様。ジョージア社に対しては同社分の保証適格コストの7割程度となる34億6000万ドル、オーグルソープ社には30億6000万ドルが政府保証借入金として連邦金融銀行から供給される一方、信用保証料は信用格付けに応じて各社が異なる率で支払うことになるという。 建設サイトではウェスチングハウス社製・出力110万kWのAP1000となる3、4号機について、昨年3月と11月にそれぞれの原子炉建屋部分で最初のコンクリート打設が完了しており、新たな許認可制度の下で30数年ぶりという新設計画は17年と18年の完成目指して進展中。融資保証の付与が確定したことにより、作業がさらに加速されていくと見られている。 ボーグル・サイト訪問の前日、モニッツ長官はワシントンDCの米国記者クラブで講演した。その中で、「ボーグルのように低炭素な電力を数百万の国内消費者に提供出来る新しい原子力施設は、原子力産業の再活性化というオバマ政権による誓約の大きなマイルストーンとなるばかりでなく、米国が低炭素なエネルギー社会に向けて進んでいくための重要方策の一部になる」と指摘。同プロジェクトに採用されている革新技術は先進的な安全性能を有する新世代の原子力発電を象徴するとともに、米国原子力産業の新たなリーダーシップを実証することになると強調した。 同長官はまた、融資保証枠にはまだ相当額の残高がある点に言及。大型炉のみならず小型モジュール炉(SMR)を含めた全般的な適用オプションを探っていくとの考えを明らかにした。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |