世界の「ロールモデル」に 元科技事務次官 石田寛人氏 原子力研究者らを激励元科学技術事務次官で、現在、原子力安全技術センター会長を務める石田寛人氏(=写真)が2月27日、都内で開かれた科学技術振興機構主催の原子力研究に関する成果報告会で講演を行い、発表のため参集した研究者たちに、「世界から『「ロールモデル』と呼ばれるようまい進して欲しい」などと、激励の言葉を述べた。 講演の中で、1964年、当時の科学技術庁に入庁した石田氏は、61年に策定された原子力長期計画(36長計)が、原子力全体の展開を示す出発点となっていたなどと振り返った。また、それ以降の、原研・研究炉建設、発電実証、実用炉開発に際しての「民営・国営」論争、米国技術導入、国産炉開発など、日本の原子力開発利用の経緯について触れた。 また、原子力委員会について、「むつ」放射線漏れ事故後、安全規制機能が分離(原子力安全委員会発足)、「もんじゅ」事故後、省庁再編(内閣府移管)となり、福島原子力発電所の事故を経て現在、新生しつつあることなどを述べた。 石田氏は、このような変遷から、時代の制約からは簡単に逃れることはできないとして、「人は皆、時代の子」などと言い表した。 また、原子力に関する「国論二分」の現状を強く憂い、同氏は「政治家に対し『原子力はこういうもの』とユニークボイスで言えないといけない」としたほか、「いかに対立する意見の中で合意形成するか」とも述べた上で、例として、日本では、全体一致、座長一任、事務局一任が主流、一方で、米国原子力規制委員会は、5人の賛否が3対2となって物事が決まることもあるとして、内外の採決の場における違いを指摘した。 石田氏は、結びに、米国戦略国際問題研究所のレポートに記されたエネルギーセキュリティにおける原子力の重要性を強調し、研究者らの今後の活躍に期待をかけた。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |