スロベニア原発にフィルター・ベント WH社

東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社はこのほど、スロベニア唯一の原子力発電施設であるクルスコ原発(PWR、72.7万kW)の格納容器に完全に受動的なフィルター付きベントシステム(PCFVS)を設置したと発表した。福島第一原発事故後、同国の原子力安全当局(SNSA)が設置を要求していたもので、欧州で初めて同システムを設置したクルスコ原発は、勧告事項や安全確保に対する原子力産業界の取組み姿勢を明確に示したとしている。

WH社の説明によると、PCFVSは格納容器内側のエアロゾル・フィルター5種類と補助建屋内側のイオン・フィルター、および破裂板やバルブといった様々な補助設備で構成されている。72時間以上フルに受動的な稼働を保証しており、福島第一原発事故に類する事象発生時に放射性物質の放出量を大幅に抑えるなど、周辺コミュニティへの影響を軽減することができる。

設計と設置には15か月を要したが、クルスコ原発は今後、従来のベント設計に付随する大型の水タンクの代わりに、コンパクトなモジュール型の乾式メタル・ファイバー・フィルターでエアロゾルを捕集することが可能。格納建屋内など、設置場所を問わない柔軟性があると強調している。

PCFVSはまた、化学制御や加熱、排水と言った補助システムが不要であるなど、唯一メンテナンス・フリーなシステムだとWH社は指摘。運転時や待機モードの間も外部電源その他の電源を必要としない受動性があるとしている。


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