福島県生産者、消費者らが発言 リスコミ 食品中の放射性物質影響を議論

食品中の放射性物質の影響について理解を深めるリスクコミュニケーションのためのシンポジウムが18日、消費者庁、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省の主催により、都内のホールで開催され、福島県内の生産者や消費者からの発言を踏まえ意見交換を行った(=写真)。

シンポジウムではまず、福島県立医科大学災害医療総合センター副センター長の熊谷敦史氏が、放射線の健康影響について、基調講演を行い、日常生活での発がんリスク、原子力災害に伴う食品の汚染状況、規制値の根拠、内部被ばく検査結果などを説明した上で、放射線によるリスクのみを特別扱いして、その他のリスクを高めてしまわないよう、バランスある判断の必要を述べた。

また、被災地生産者の立場から、JA伊達みらいの数又清市氏が、果樹の除染・洗浄作業について、22樹種、計およそ55万本におよぶ処理実績を述べ、農産物における放射性物質未検出を目指した農業関係者の努力に対する理解を訴えかけた。

会場参加者から、チェルノブイリ事故の影響などを踏まえ、食品中の放射性物質の規制値見直しを求める意見があったのに対し、消費者団体の「フード・コミュニケーション・コンパス」事務局長の森田満樹氏は、検査で基準値を超えるものが出た際の現場へのフィードバックの必要にも触れながら、「検査の裏側にある情報をどう伝えていくか」考える必要があると述べた。

さらに、カロリーベースで食料の約6割を輸入に頼る日本の規制値が、他国よりも厳しい状況に関する疑問の声があったのに対し、厚生労働省は、食べ方、輸入量、農薬の使用など、各国で科学的知見に基づき設定されているなどと答えた。


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