原子力、評価しつつリスクも IPCC報告書 2100年に向け警鐘

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の総会が7〜12日、ドイツ・ベルリンで開催され、温室効果ガス(GHG)排出の抑制・削減に関する評価を行う第3作業部会の報告書を承認、公表した。10月にデンマーク・コペンハーゲンで開かれる総会でまとめるIPCC第5次評価統合報告書に盛り込まれるもの。報告書では、2100年の世界の平均地上気温が、産業革命前の水準と比べ最大7.8℃上昇するなどと警鐘を鳴らし、エネルギー供給によるCO排出量低減策として、原子力の貢献は認めつつ、リスクの存在にも言及した。

温室効果ガス排出に関し、報告書では、この40年間の人為起源COは、1750〜2010年の累積排出量の約半分を占め、特に、2000〜10年では、経済成長と人口増加が、エネルギー面の改善による排出削減を凌いだなどとする分析結果を示した。

また、評価のため、数多くの緩和シナリオを分析したところ、2100年までに産業革命前に比べて温度上昇2℃未満に抑えられる可能性の高いシナリオの特徴として、エネルギー効率がより急速に改善され、再生可能エネルギー、原子力などの低炭素エネルギーの供給比率が、50年までに10年の3〜4倍程度になっていることをあげている。

さらに、緩和対策を行わない「ベースラインシナリオ」では、エネルギー供給部門からのCO排出量は、50年に10年の約2〜3倍になると評価しており、原子力については、「成熟した低GHG排出のベースロード電源だが、世界における発電シェアは1993年以降低下している」としたほか、各種の障壁とリスクの存在を指摘している。


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