再生エネ法改正を閣議決定 ドイツ

ドイツのA.メルケル政権は9日、再生可能エネルギー開発に対する政府補助金の削減を盛り込んだ再生可能エネルギー法(EEG)改正案を閣議決定した。議会の承認を得た上で今夏にも施行にこぎ着けたい考えだ。

福島第一原発事故後、メルケル政権は2022年までに脱原子力の完了を目指す一方で、再生エネの発電シェアを20年までに35%に拡大する政策を打ち出した。しかし、EEGに規定された同エネからの電力固定価格買い取り制度により電力料金は高騰。経済・エネルギー相として昨年末に入閣したS.ガブリエル社会民主党(SPD)党首は、「EEG改正により、風力や太陽光発電の開発を停止させることなくコストダウンが可能だ」と強調しているが、同国の性急なエネルギー移行政策は早くも綻びが生じ始めている。

EEGは2000年頃に現行に近い内容に整えられており、30年までに再生エネの発電シェアを50%以上などとする目標を設定。これらを達成するため、再生エネ設備を一般送電網に優先的に接続するほか、一般の電力より高い固定価格での買い取りを送電網事業者に義務付けている。

2013年にドイツの再生エネのシェアはすでに20%を突破。しかし、一般電力との差額が電力消費者の重い負担につながることから、メルケル政権は今回、再生エネの新規開発について年間の上限値を大幅に下方修正し、太陽光と陸上風力が最大250万kW、洋上風力は20年までは650万kWなどとした。これを超えると、固定価格での買い取り義務が自動的になくなり、一層市場指向型の電源になる点を保証。今年の8月1日以降に運開するプラントから改正法が適用されるとしている。

現地の報道によると、ガブリエル大臣はこれまで補助金の恩恵に浴していた再生エネ発電事業者2000社のうち、400社が適用外になると述べた模様。ただし、電力多消費企業の特権分は、EC国家補助規則の適用を免除されたため、そのまま据え置かれるとしている。


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