三菱重工、5月までに10基 汚染水タンク出荷開始 高い密封性と強度を確保

三菱重工業は10日、東京電力の福島第一原子力発電所向け汚染水貯蔵タンク(=写真)の出荷を神戸造船所二見工場(兵庫県明石市)で開始したことを発表した。同発電所向け汚染水貯蔵タンクとしては初の工場完成型タンクで、5月までに計10基を出荷する予定だ。

今回納入する縦置き溶接構造タンクは炭素鋼製で、直径8.1m、高さ15.6m、厚さ16mm、容量700立方m。東京電力では現在、汚染水を貯蔵しているフランジ構造タンクや横置きタンクから、縦置き溶接構造タンクへのリプレースや増設を進めているが、これらのタンクはその一翼を担うこととなる。

今回のタンク製作に当たっては、高い密封性と強度、そして短納期が求められた。同社はこれに対し、実績豊富な溶接および加工技術を駆使するとともに、熟練作業員が工場で製作できる工場完成型とすることで、原子力製品としての安定した高い品質と短納期を実現した。

二見工場から出荷したタンクは、海上輸送と原子力発電所の構内輸送を経て、所定の場所に据付けられる。据付けは同社が実施する。

三菱重工は、今回の10基に続き、さらに大型の容量である1000立方mの縦置き溶接構造タンクを神戸造船所本工場および二見工場において製作中で、これらは6月以降順次出荷していく予定だという。

同社は今後も、これまでの原子力事業で培った多様な技術やノウハウを活用し、福島第一原子力発電所の汚染水対策をはじめとする様々な課題について、全力で支援していく方針だ。


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