後藤 収・経済産業省 大臣官房審議官

11日に第4次エネルギー基本計画が閣議決定し、これに従って原子力を含めた今後のエネルギー政策を進めていくことになった。元々は、石油ショックの後、如何に「安定供給」していくかという点からスタート。以後、石油のウェートは震災前には4割くらいまで下がったものの、震災後に原子力が止まったため化石燃料のウェートは上がってきている。次に出てきたのが「経済性」で、大口の自由化を開始。CO問題の発生により「環境」を加えた3つのEがメインになったが、震災後は「安全性」がまず先頭に入ってきている。

また、原子力が抜け落ちた後の自給率低下、化石燃料焚き増しによる年間3.6兆円の国富の流失が問題となっており、電気代は震災前より3割増加。エネルギー価格をどう下げていくかが最大の課題という状況だ。

基本計画における原子力部分では、その「位置付け」と「依存度」がポイントとなった。コストが安く、ベースで焚き続けられるという点で原子力はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源。依存度は可能な限り下げていかざるを得ない状況だが、我が国のエネルギー制約を考えればゼロとするのではなく、コストや安定供給、地球温暖化、人材・技術という観点から必要規模を見極めて一定規模を維持する必要があると考える。

今後の原子力政策の再構築という部分では、福島の再生復興を出発点に、安全神話から決別し、使用済み燃料問題を解決することが不可欠。高レベル処分場のサイト探しは、国が回収可能性を担保しながら技術的可能性のある所に申し入れるやり方に変えたい。また、利用目的のないプルトニウムは作らず、運転は40年制限制を厳格に適用。2028年くらいで設備容量は半分くらいになるが、将来どこまで原子力を活用するかは残った課題として議論していくことが必要である。


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