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【モデレーター】澤 昭裕21世紀政策研究所 研究主幹今の日本の原子力政策は崖っぷちに立っているという感がある。エネルギー基本計画ができあがるまでのプロセスの中で原子力への積極的な取組を示唆する部分はすべて削られてきた交渉経過があると思うし、そういう意味で、原子力には3つの不透明さ、将来を見通せない部分がある。 1つ目は政治の面。1950年代に原子力の平和利用を始めた政治家達は国の威信をかけて取り組んでいたが、今の若手官僚にとっては福島第一原発事故が原体験。原子力に対する政治的支持再構築のため、その必要性について政治家を説得していかねばならない。 2つ目は政策的な不透明さ。科学技術政策面で原子力技術は非常に夢のある分野だった。ほかの技術との比較という点で、原子力はもっと日本にとって必要なのだと位置付けられねばならない。 また、電力自由化との関係の中で原子力は生き残って行けるのかという問題があるし、原子力規制委員会の方針にブレがあるため、どういった原則に基づいて規制活動を行おうとしているのかが見えない。片や事業者側には時間的余裕がないため、規制委に恭順の意を示しがちである。 3つ目の不透明さはバックエンド問題。再処理を中心とするリサイクル政策をどういう意味でやるのかが重要で、関連する課題のどれ1つとして簡単な解決方法はない。まさに原子力全体の未来がかかっていると言って過言ではなく、国が前面に立って全体を仕切っていくことが望まれる。 まとめると、原子力が国益、地域振興にとって特別必要なのだという認識を再構築し、技術と人材の基盤維持に必要な新設案件のための確実なファイナンスのしくみを設置すること、技術の新陳代謝を図っていくことが必要条件になろう。 お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで |