福島自身が光り世の光に 丹波史紀・福島大学行政政策学類准教授

8町村住民全体から半数の回答を得た福島大学の調査結果によると、避難場所を5回以上変えたという人が4割いて、半年で48回も変えた人もいる。家族がばらばらになっており、介護不足にもつながっている。

事故(アクシデント)と災害(ディザスター)は問題を分けて考えるべき。災害は、人々の命や住居を奪うだけでなく、生活基盤やコミュニティそのものを奪い、個人としての誇りや尊厳をも奪いかねない。災害により被害を受けた人々のニーズを的確に把握することが大切。

福島では、全震災死者数のうち半分以上を災害関連死が占めており、うち9割が66歳以上の高齢者だ。避難の長期化や精神的肉体的苦痛が影響している。時間軸の不明確さと生活再建の遅れが生活再建と地域復興の大きな壁になっている。

町おこしイベントであるB1グルメ大会では浪江焼きそばが優勝したが、被災した福島県浪江町民からは「町おこしする町がない」との声が聞かれた。

戻る人に対しても戻らない人に対しても、生活の再建を最優先に考えてほしい。戻る住民の努力に対して報い、避難を続ける住民も公平な扱いを受けるべきだ。一方で、いつまでも被災者と呼ばれたくないという思いももある。住民や地域が尊厳を回復し、憐みや同情の存在でなく福島から新しい価値を生み出していきたい。


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