福島に来て学んでほしい 大和田新・ラジオ福島編成局専任局長

福島原子力発電所事故以来、ラジオにも「蟻のごと、逃げ惑う群衆を、首相は空から視察しており」、「直ちには影響ないと繰り返す、官房談話に無策が透ける」などの歌が被災地から寄せられた。

福島県では先日、地震津波の直接死者数を関連死者数が抜いた。ふるさとへ戻れない不安から福島県の自殺者数が宮城県や岩手県と比べて突出している。毎日増える原発事故関連死を止めることが復旧復興の第一歩だ。

多少の不便さの中にも幸せを感じる生き方が日本人に求められている。震災後にラジオで「ママ、エアコン消したら暑いね。でもかき氷がおいしいね」というCMを流していた。今こそこの価値観を共有する時では。

震災後に2000人以上の福島の中高生に将来の夢について取材し、警察官や医者になって福島県の役に立ちたいという声が沢山聞かれた。しかし政治家になりたいという生徒は1人しかおらず、口先だけで復旧復興を唱える政治家は福島に役立つと思われていない。

福島の高校生が卒業式で、「人間がコントロールできない科学技術の発達で大切なふるさとを失ったが、天を恨まず、自らの運命を自らの手で切り開いていく」と答辞を読んだ。復旧復興を考えるのに大事な一言だ。

福島に来て、見て、聞いて、学んでほしい。


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