福島第一発電所の緊急作業従事者 疫学的研究を本格実施へ 厚労省報告まとめ まず約2000人対象に調査

厚生労働省は4日、福島第一原子力発電所の緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方について、専門家による検討を踏まえ報告書を取りまとめた。原子力事故対応に伴い、11年3月14日〜12月16日、緊急被ばく線量限度が100mSvから250mSvに引き上げられており、この間、174人が通常作業の5年間線量限度となる100mSvを超えたところ、報告書では、緊急作業従事者約2万人全員を対象集団とし、原則、対象者の生涯にわたり、過去の研究で放射線影響の可能性があるとされている固形がん、白血病など、可能な限り網羅し、心理的影響も含め、調査を行うものとしている。

対象者は、原子力発電所の従事者であることから、事故前の通常被ばく線量、将来他の発電所で放射線業務に従事した場合の被ばく線量を把握するため、放射線影響協会が運営する中央登録センターからのデータ提供や、医療被ばくの把握も必要不可欠などとしている。また、被ばく実効線量が100mSvを超える従事者に対し、染色体の検査を行うことで、放射線による生体影響に関する評価に資することが期待できるとしている。

厚労省では、今回とりまとめた報告書を踏まえて、14年度から、対象集団の1割(約2000人)を対象としたベースライン研究を開始する方針だ。15年度以降の本格的研究に向けた準備を進めていくことになる。


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