原子力など折半で合弁事業 アルストムがGEの買収案受入

仏国の大手重電機メーカーのアルストム社は23日、同社の取締役会が米重電大手GE社による修正版の買収提案の受け入れを満場一致で決めたと発表した。同提案でGE社は、仏国政府に原子力機器の製造関連で意思決定上の拒否権と、アルストム社の蒸気タービン「アラベル」技術の知的所有権も付与するなど、エネルギー事業で仏国のプレゼンス維持・強化に最大限配慮。アルストム社の発電・送配電事業買収により、世界的に競争力のある企業となるべく、2015年中にも手続きを完了する考えだ。

GE社が4月末にアルストム社に提示した買収案では仏国政府が国内原子力産業の独立性などの点で懸念を表明していたことから、GE社は7週間にわたって政府と協議。独シーメンス社と三菱重工業が16日、GE社案に対抗する広範な事業提案をアルストム社に共同提案した後、19日付けの修正提案として、アルストム社の資産を合併吸収するのではなく、資産査定額を据え置いたまま対等の立場で事業提携する内容を提示した。

仏国のA.モントブール生産再建大臣は20日の記者会見でこの提案を許可する意向を表明。修正内容に沿ってアルストム社株の20%をブイグ社から市場価格で購入することに合意していた。

GE社は今後、当初の買収提案どおりアルストム社の火力発電および再生可能エネルギー・送配電事業を総額169億ドルで買収するが、手続き完了後に送配電事業と再生可能エネルギー事業のそれぞれについて、仏国を本拠地とする50対50の合弁事業を起ち上げることになる。

また、原子力発電機器の製造・販売、および蒸気タービン機器についても「グローバルな原子力・仏国蒸気タービン連合」を創設し、仏国における関連技術の進展とセキュリティを保証する方針だ。GE社とアルストム社が50対50の比率で出資するほか、仏国政府も優先株を保有。2名の取締役指名と、原発技術とセキュリティに係わる問題について拒否権の発動が可能となる。

さらに、「アラベル」技術の知的所有権は仏国政府が完全所有する特定目的の組織に移転。仏アレバ社と仏電力による原子力プロジェクトにアラベル技術を供給する意思がGE社にない場合、仏国政府が第三者に同技術の使用許可を与えることが出来るとしている。


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