新基準施行から1年 9社19基が申請中 審査の先行き不透明で 長期化を懸念

8日で、原子力発電所の新規制基準が施行されて1年を経た。新基準適合性審査には、施行日当日、4社10基の申請があり、原子力規制委員会は、地震・津波関係は島ア邦彦委員、プラント関係は更田豊志委員を担当として、審査会合を13年7月16日に始動した。その後、事業者からの申請が続き、現在、9社19基が審査中となっており、審査会合開催は計122回を数えるに至っているが、まだ1基も審査を終了したプラントはない。

現在、「大きな項目をクリアできた」として、九州電力の川内1、2号機が、優先的に審査を進めるプラントとなっているが、原子力規制庁の片山啓審議官は、8日の定例記者会見で、「翌9日にも同基の審査書案がまとまる」といった一部報道に関する質問に対し、まだ「技術的精査」の段階にあるとし、また、新基準施行から1年を迎えた所感を問われたのに対し、規制委員会を支える事務局として、「透明性を保ち厳格に審査を進めてきた」などとしている。

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5月末に行われた衆院特別委員会では有識者から、事業者とのコミュニケーション不足や審査期間の長期化が指摘されており、再稼働をめぐる課題は少なくない。審査体制を強化することも求められている。

原子力発電停止の影響は、経済活動や国民生活はもとより、温暖化問題など、国際的な責任に連なるという現実がある。

安全性とも深く関連する経済性等、原子力事業の環境整備も安全品質に関わる重要な視点だ。

安全優先の前提のもとに、規制を含めて、多角的な視点でバランスのとれた原子力行政のあり方が今問われている。


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