ユッカ計画に審査経費 米議会下院:来年度予算案承認

米議会下院が今年10月から始まる2015会計年度のエネルギー・水資源開発歳出法案を10日に承認したことについて、米原子力エネルギー協会(NEI)はこれを評価するコメントを発表した。

現行予算から5000万ドル減の340億ドルとなった同法案では、B.オバマ政権が打ち切りを決めたネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済み燃料処分場建設計画について、認可審査の継続経費を計上。6割方完成したにも拘わらず、建設計画の凍結が提案されていたサウスカロライナ州サバンナリバーでのMOX燃料加工工場(MFFF)にも予算を付けていることから、「議員達が、原子力を米国に恩恵をもたらす電源多様化構成の重要な一要素と認識している証拠だ」と高く評価している。

ただし、このような内容の法案にはオバマ大統領が拒否権を発動するとの見方がある。また、与党・民主党が主導している上院では上院版法案の審議が進んでおらず、最終的な予算措置の行方は未だ不透明な状態だ。

ユッカマウンテン処分場計画の関連予算は現行の14年度、および15年度予算要求時にゼロ設定だったが、共和党が多数派の下院でも超党派で強力な支持があることから、これを断固として進展させるための経費2億500万ドルが承認された。内訳はDOEのための1億5000万ドルと米原子力規制委員会(NRC)用の5500万ドルで、同処分場の建設許可審査活動に使われる。

議会専門の報道メディアによると、この審議の過程でネバダ州選出の民主党議員が2件の修正動議を提出。1つはユッカマウンテン計画を将来的な廃棄物処分オプションから排除する権限をDOEに与えるもので、もう1つは同計画を終結に導くために使用済み燃料処分経費そのものを15年度予算からそっくり削除するという内容だった。しかし、多くの州が州内で廃棄物を保管しているという事情を反映し、どちらの動議も圧倒的大差で否決されている。

MFFFについては、3月の予算要求時に現政権が「建設作業を凍結状態に置く」ための予算のみ計上していたが、最終的に核分裂物質処分プログラムから3億4500万ドルが盛り込まれた。建設作業の継続支持を意図したもので、現政権の要求額に1億4900万ドルが上乗せされた形だ。


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