台湾など国外から高い関心 川内原発の適合性確認報道

台湾の馬英九総統(=写真)は17日、日本の原子力規制委員会が川内原子力発電所1、2号機の新規制基準への適合性を確認したという報道について、「今秋にも再稼働する可能性が高いと聞いており、今後日本で、より多くの原子力発電所が運転を再開していくか注目している」との見解を公表した。

台湾では福島第一原発事故後に反原子力運動がとみに高まり、ほぼ完成していた龍門原子力発電所1号機を4月末に密閉管理状態に置くとともに、同2号機の建設作業を凍結した。同原発を将来稼働させるか否かは国民投票で決定する方針であることから、エネルギー供給条件の類似する日本の動向が龍門原発の稼働につながることへの期待を示したもの。

この発言は訪台していた広中和歌子・元環境庁長官との会談の中で述べられたもので、馬総統はまず、台湾と日本が(1)エネルギーの大部分を輸入に依存(2)地震帯に属する(3)電力網の孤立により海外から電力を輸入できない―の3点で共通していると指摘。このため福島第一原発事故後の日本の原子力政策には強い関心を抱いているとした。

日本政府が同事故の翌年、2030年までに原発全廃を目指すとした後、天然ガスの輸入拡大による13年の貿易赤字が電気代と国民生活に大きく影響したのを受けて、今年4月に原子力を再び、重要なベースロード電源と位置付ける基本計画を公表した経緯にも言及。川内原発を皮切りとする、日本のその他の原発の再稼働に向けた動きを注視していきたいとしている。

WNAもアナウンスメント−−「再稼働は日本の経済、国民の健康と環境の防護に重要」

この件については、世界の原子力関連企業も注目しており、業界団体である世界原子力協会(WNA)も同日、「48基の再稼働に向けて日本が前進するための大きなステップ」と評価するアナウンスメントをウェブサイト上に掲載した。日本にとって待望の初承認だと表現する一方、諸外国の原子力関係者にとっても強い関心事であることを伺わせる発表となった。

WNAはまず、日本の原子炉が2011年3月の福島第一原発事故以降、規制システムの抜本的改革のためにほとんど停止状態にあったことから、その穴埋めに輸入した化石燃料費が年間3〜4兆円にのぼったという政府見積を紹介した。その上で、16日の報道は新しい規制の枠組が実際に機能し、より高いレベルの安全規制が導入されたという喜ばしい証拠だと明言。WNAは日本のすべての原子炉に同様の判断が早急に下ることを希望するとした。

次に、原子力発電所の再稼働が日本の経済のみならず、国民の健康および環境上の理由からも非常に重要であるとの認識を表明。有害な大気汚染物質や温室効果ガスの排出を抑えるなど大気を清浄に保つ一助となることから、原子力発電所の再稼働はおそらく、地球の気温上昇を2度C以内に抑えるために現時点で取り得る唯一の最重要手段であると指摘した。

また、2010年度に日本の原子力発電所が2710億kWhを発電していたという事実に言及。この発電量はEU域内における風力、太陽光発電設備による2012年の発電量2734億kWhにほぼ等しいこと、原子力発電所の停止によって年間のCO排出量が1億トン以上増加したことを伝えている。


お問い合わせは、政策・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで