廃炉「大きな課題」と捉え 福井県 国内外の調査報告公表

福井県は20日、県内に立地する原子力発電所の運転年数経過を踏まえ、7月に実施した欧州実地調査などに基づく情報を整理した報告書「廃炉・新電源に関する内外の現状と課題について」を公表した。

これは、県内に立地する原子力発電所のうち、40年、30年を経過したプラントがそれぞれ3基、5基に達する一方で、「40年運転制限性」や、新たなエネルギー基本計画が掲げる「原発依存度の低減」などから、「廃炉の問題は本県の原子力行政にとって大きな課題」と認識し、全国の立地地域に先駆け原子力政策に貢献する考えに立ち、国内外の廃炉に関する現状と課題を取りまとめたものだ。

報告書ではまず、使用済み燃料貯蔵に関し、県内での貯蔵量は約3600トンに達しており、14年3月時点で、あと7〜9年で管理容量を超過するとの国による試算を示し、欧米諸国の状況を踏まえ、国や事業者が中間貯蔵施設の早期建設、貯蔵・輸送技術の研究開発を進めるよう訴えている。

また、廃止措置について、報告書は、これまでに世界で558基の原子力発電所が建設され、現在、426基が稼働中で、132基が廃炉を決定、うち12基が解体を完了しているとして、実地調査も踏まえ、米国、ドイツ、英国、フランス、スペインの事例を述べている。

その上で、国は、責任をもち総合的に廃止措置を推進する体制を早急に整備すべきとし、県としても、関係者との実務的な検討会を立ち上げ、工程管理や除染・解体など、廃止措置に係る技術的な課題の研究、工期やコストの低減に関するマネジメント方策について、考え方を整理し、国との実務的な協議や、提案・要望を行っていくこととしている。

この他、廃止措置に伴う地域振興のあり方や、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた国際貢献などについても取りまとめられている。


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