大気粉塵から炉内状況考察 理科大

東京理科大学の研究グループは8日、福島第一原子力発電所事故直後につくば市内で採取された放射性大気粉じんを大型放射光施設SPring―8で解析し、事故当時の炉内状況を考察した研究結果を発表した。

この大気粉じんは、放射性セシウムを含む「セシウムボール」と呼ばれる粒径二ミクロン程度の球形粒子で、SPring―8による蛍光X線分析を行ったところ、セシウムの他にバリウム、ルビジウムなど、燃料の核分裂生成物と思われる元素とともに、一部の粒子には燃料のウランが含まれることが明らかとなり、研究グループでは、事故当時に格納容器が破損していた可能性があるものと推察している。

さらに、複合的なX線分析により、「セシウムボール」がウランとその核分裂生成物を含むガラス粒子であることが判明し、事故当時の炉内では、核燃料だけでなく構成物も溶融し混合された状態にあり、それが大気中に放出され急冷しガラス状態となったなどとするシナリオを予想している。

理科大の研究グループでは、大気に放出された放射性物質の性状解明を研究してきたが、今回の分析により、事故後の放射性物質拡散シミュレーションの精度向上にもつながるものと展望し、今後、粒子の危険性に関する正確な評価や、起源の検証を行うため、ウランを含む各元素の濃度など、より定量的なデータが必要だとしている。


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